日本の租税回避額が55兆円のソース

日本でもパナマ文書が話題となっている。その中で、日本の租税回避額が55兆円という情報も流れている(消費税増税は必要なかったという主張とともに)。増税の是非はともかく、55兆円という数字がどこから出てきたのか気になったので調べた。


おそらく今話題にしている人たちは、しんぶん赤旗の数字を引いたと思われる。

タックスヘイブン(租税回避地) ケイマン諸島/日本の投資残高 55兆円/多国籍企業 11年間で約3倍

しかしこの記事は2013年8月25日付で、パナマ文書よりも前の数字である。
投資額グラフの説明文には、"日本銀行「直接投資・証券投資等(資産)残高地域別統計」から作成"とある。つまりリークされたものではなく、日本銀行が公開している統計から作成されたグラフだ。


この統計は日本銀行の以下のページからZIP圧縮されたExcelファイルでダウンロードできる。
国際収支統計(IMF国際収支マニュアル第5版ベース) :日本銀行 Bank of Japan
ページ中の「直接投資・証券投資等残高地域別統計」という小見出しで、1996年〜2013年の統計がまとめられている。
2012年末のデータ*1をみると、ケイマン諸島に対する直接投資残高が51,607億円(Sheet1 C26セル)、証券投資残高が498,207億円(Sheet2 C26セル)で、合計で約55兆円になることから、この数字を使ったものと思われる。


この数字がそのまま租税回避額になるかは専門家ではないので不明。赤旗の記事でも、ケイマン諸島タックスヘイブンとして有名という記述に留めている。


参考:「パナマ文書」にJALや電通が載っているという情報はデマ