現役配信者に聞く「ニコ生の魅力」とは


現在では巨大に成長したニコニコ動画。動画と並ぶ大きな柱が生放送であることへの異論は少ないだろう。しかし私を含め、動画の方ばかり見ている人間にとって、ニコニコ生放送はやや雰囲気の違う、異なる文化圏となっているように感じられる。ウェブ系メディアでは過剰にネガティブ、もしくはセンセーショナルに取り上げられることも多いニコニコ生放送。しかしその実際が内部の人間、特に配信者によって語られることは少ない。
そこで人気配信者ではない「普通の」生主(生主=ニコニコ生放送における配信者の愛称)へのインタビューを通じて、内部から見たニコ生とその特徴を知ろうと考えた。インタビューの依頼を昔からの知人であり、生主もやっている「ぷち先輩(HN)」に送った結果、快く承諾してくれた。以下のインタビューは8月からの数ヶ月に渡り、Googleドキュメントの共同編集という形で進められたものである。


インタビュアー:coldcup(太字) / インタビューイー:ぷち先輩


― 今日はよろしくお願いします
よろしくお願いします。


― ではまずニコニコ生放送(以下ニコ生)での配信歴を教えてください
11ヶ月になります。


― ニコ生以前も配信をやってたんですか?
はい、LiveTubeで配信してました。
でもニコ生のリスナー人口の多さとニコニコミュニティというシステムに惹かれて移行することにしました。ニコ生ではコミュニティの参加人数からリスナーの候補数がある程度把握できますが、他の配信サイトにはこういった仕組みがありませんからね。


― 普段の配信はどんなことを?
天鳳(ネット麻雀)、DQRTA(ドラゴンクエスト・リアルタイムアタック)、脱出ゲームなどのブラウザゲームなどですね。課金は基本的に携帯で行っています。必要に応じてWebMoneyで補いますが、不定期に運営側から頂けるポイントで今は賄えている感じですね。


― アンチとか批判コメなどはあるんでしょうか
表立った個人批判はないですが、ニコ生での天鳳(ネット麻雀)配信全体に対しての批判は過去にありました。同卓のプレイヤーが配信を見てしまうリスクがあったためです。現在は「一部の卓では配信を自粛する」というルールができたのである程度は解決していますが。


― 配信一回あたりの来場者数・コメント数は平均してどのくらいですか?
50人・50コメ/30分ぐらいですね。ちなみに一回あたりの配信時間は内容にもよりますが、2時間程度です。


― なるほど。確かに人気配信者という感じでは…
ないですね。ただ、できる限り全てのコメントを読むように気をつけています。せっかくリスナーの方がお時間を割いてくれてるわけですから。


― 例えばもっと配信を大きくしたいと思ったりは?
出来ればしたいですが、それより自分のしたい配信をやることの方が大事ですね。これ以上配信頻度を増やすのも難しいですし・・・
今後は配信を活用した「数学講座」や、学術的な事柄の配信などにも挑戦してみたいですね。


― いわゆる「ニコニコ動画講座」的な感じですかね。他の生主(配信者)さんとの交流はありますか?
そうですね。やはり同じジャンルの配信の方とが多くなります。例えば天鳳クラスタでは麻雀談義や新しい企画、クラスタ内部の問題についてなどが多いですね。もちろん普通の世間話もしますが。


― ニコ生というと未成年とか出会い厨とかのイメージもありますが…
人と人との関わりがある以上、出会い厨の問題は避けて通れないと思っています。しかし、ニコ生で出会うことによってネガティブな面がある一方、出会い自体にはもっとポジティブな面もあるのではないでしょうか。
未成年にとっての現状は確かにいい環境とは言いがたいので、適切な対処があればすべきだとは思います。


― でも結果的に「出会い」になるならともかく、始めからそれを目的として入ってくる人間もいますよね?
個人的には、その人がリスナーや他の配信者、あるいはニコ生に対して、何かしらのバリューを発揮できるのならばアリだと思っています。動機より、その人が何をしたかが大事だと思います。


― ちなみにニコニコ動画の方はよく利用するんですか?
重度のニコ厨ですw
ニコ生より動画の方に先にハマりましたね。他の配信者もそういう方が多いと思います。以前は麻雀の動画をいくつか投稿してました。よく見るジャンルはボカロ系とRTA、TASなどのゲームプレイ動画です。普通のプレイ動画だと、Civilization4とか。ですから、たとえニコ生配信を止めたとしても課金は続けると思いますよ。


― ぷち先輩のコミュ名が「鏡音リンが麻雀打つよ☆」なんですが、ボカロファンから抗議されませんか?
うーん、そういうのはないですね。配信のBGMにボカロ曲を優先的に採用するようにしているので、ある程度はボカロファンも楽しんで頂けるのではないでしょうか。


― 配信を通じて、それ以外のネット上の活動や実生活に変化はありました?
ネット上の活動の幅は広がりましたし、配信の双方向性、リアルタイム性を生かした活動が可能になり、今までにないエンターテイメントが提供できると思っています。これは僕個人の話だけではなくて、一般論としてです。
実生活については、配信が長引いて睡眠時間が削れたり、配信する予定があるときにリアルの予定をキャンセルしたりといったことはよくあります。


― もし配信を辞めるとしたら、どういう時だと思います?
本当に辞めるのは、「他の配信者に大きな迷惑をかけた」など私の配信により何か客観的な問題が発生したときだけですね。逆に言えば、楽しみにしてくれているリスナーが一人でもいる限り、何らかの形で配信を続けていきたいな、と思っています。
ただ現状、多忙によりまともに配信時間が取れていないので、リアルの制約も大きいことは否定できませんが・・・


― そろそろまとめに入ろうと思うんですが、ニコ生の魅力とそうではない部分とは?
魅力としてはさっきも言いましたが、ニコニコミュニティの仕組み、あとは人口が多いところですね。反面、人が多すぎてモラルに欠ける人が出たり、配信数も多いので一部に人気が集中して過疎配信は過疎配信のままといった問題があります。
他の悪い点としては1枠30分という制限と予約や延長、割り込みを行うとお金がかかることです。こんなの、他のサイトでは聞いたことありませんよね。


― 確かに。それが良くも悪くもニコ生をユニークにしているんでしょう。ただ30分制限については配信のgdgd化を防止するために運営が敢えて設けているという話を聞いたことがありますが
「30分一区切りにすること」でgdgd垂れ流し放送が減るか、というとそんなことはないと思います。確かに30分毎に続けるか止めるかの選択がある分だけ、垂れ流しが減る方向性に向かうとは思いますが、そもそも30分枠以前に配信側/リスナー側ともに「止める」という選択肢があるわけで、わざわざそのような方向でgdgd放送を牽制する必要はなく、そのような放送は自然淘汰されると思います。


― 過疎対策については「ニコ生クルーズ」などもありますが
確かクルーズは「凸待ち」配信にだけ巡回してくるんですよね。つまり、凸待ちをしていない配信に関しては、過疎配信の普及としての意味を持っていないと思います。
凸待ち配信についての効果は、寡聞にして聞いたことがないので・・・すみません。


― では最後にニコ生運営に要望があれば一言あれば。
仕様が変わって大分立ちましたが、枠の順番待ちより、枠取りの方が個人的には好きでした。


― 本日はどうもありがとうございました
ありがとうございました。


インタビューは以上です。「ニコ生を知る」という当初の目的が完全に果たされたとは言いませんが、おぼろげながらみえてきた部分もありました。この記事が一つのサンプルとして、皆様のニコ生を知る一助になれば幸いです。

最後に、インタビューに協力してくれたぷち先輩の関連リンクを。
Twitterぷち先輩 (petitsp) on Twitter
ブログ:天和と平和
ニコニコミュニティ【天鳳】鏡音リンが麻雀打つよ☆【ぷち先輩】