物理演算×AIの「euphoria」エンジン


このエンジンを開発しているのは、オックスフォード大学を卒業したメンバーが中心となって興したNaturalMotionという会社。この会社の初めての製品は「endorphin」という今回紹介したエンジンの前身となるものだった。(映画「トロイ」や格闘ゲーム鉄拳5」などで採用)
euphoria」は今日北米で発売される「GTA4」や、「Backbreaker」というアメフトゲーム、Lucas Artsの「Star Wars: The Force Unleashed」「Indiana Jones」でも採用されている。
現在のゲームにおける物理演算の代表的な例がラグドールと呼ばれるもので、ただ人の形をした人形がふっとぶだけの演出である。しかしこのエンジンでは「Dynamic Motion Synthesis(DMS)」と呼ばれる物理演算の影響を受けるキャラクターの振る舞いを決定するAIによって、アニメータがキーフレームを手作業で打つことなし、モーションキャプチャをすることなしでキャラクターの状況にあった振る舞いをリアルタイムで生成することができるのである。それによってキャラクターが決まった動きしかしないという制限から自由になり、プレイヤーの没入感が増加するだろう。
導入例1 Star Wars: The Force Unleashed

落ちまいとなんとか掴まろうとするストームトルーパー
導入例2 GTA4

受け身をとろうとする、など
このように物理演算がゲームの重要な演出の一つとして積極的に取り入れられる動きがもっと早く広がっていれば、PhysXボードも叩き売りされずに済んだかもしれない。


参考:デジタル俳優の行動原理は脳内麻薬から?- あってなきがごとし?
4Gamer.net ― [E3 2006#063]次世代を見据えるLucas Artsのゲーム戦略